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2025/08/08

インバウンド消費の変化と不動産投資の視点

渋谷駅上空写真

いま訪日外国人の数は過去最高水準に達しています。この前渋谷へ行きましたが、スクランブル交差点では外国人の方が日本人より多かった気がします。きっと観光業は外国人のおかげで売上があがるのではないでしょうか

 

しかし、百貨店を中心とする免税売上は急減し、期待されたインバウンド消費が従来の形とは異なる様相を見せています。背景には円高の進行や、旅行者の消費スタイルの変化があります。爆買いの時代から「体験重視」へとシフトし、高額ブランド品を大量購入するよりも、飲食・娯楽・サービスに支出が流れる傾向が鮮明です。

 

この変化は不動産市場にも直結します。従来、百貨店や大型商業施設はインバウンド需要を当て込んで高額な賃料を維持してきました。しかし訪日客が必ずしも百貨店で消費するとは限らない現在、商業施設の収益モデルは再考を迫られています。渋谷パルコのように訪日客売上が4割を超えるケースもある一方、他の百貨店では売上低迷に苦しむ姿も見られます。つまり「立地」と「施設の個性」が、従来以上に明確な差を生む時代に入ったといえるでしょう。

 

不動産投資の観点からは、この変化をネガティブに捉えるのではなく、消費行動の多様化にどう適応するかがポイントになります。例えば、飲食・エンタメ・宿泊といった「体験型需要」に強い物件は、インバウンドの恩恵を引き続き享受できます。また、地方都市や観光地では、ホテル・旅館の需要が旺盛であり、収益不動産としての魅力はむしろ高まっています。

 

さらに、訪日客は「購買」から「滞在体験」へと価値観をシフトさせています。これは住宅市場にも影響を与えます。短期滞在型の民泊や中長期滞在型の賃貸需要は、今後も増加が見込まれます。外国人が「住む場所」として東京を選び、賃貸住宅やサービスアパートメントに入居するケースが増えることで、安定的な賃貸需要を支える要因となるでしょう。

 

インバウンド市場の変化は、一見すると小売業や百貨店にとって逆風に見えます。しかし不動産の視点から見れば、新しい需要の芽をどう捉えるかで成長機会に変わります。都市型ホテルやサービスアパートメント、飲食を中心とした複合施設など、体験価値を高める物件は今後さらに注目されるでしょう。

 

当社では、こうした市場の変化を踏まえ、インバウンド需要を背景にした不動産の可能性をお客様にご提案しています。消費が「モノ」から「体験」へと移る中で、資産価値を持続的に高める物件選びがこれからのカギとなります。